堕ちた祈り | 七色遠景

堕ちた祈り

嗚呼 またもや情動の処理ですか 手際良く


欲する物を すべて手に入れて


故郷の石畳だけは 踝の痛み 青葉の隙間 炎天下




人混みのアスファルトの足元に 落とした五円玉は


あの昔 鳴らした 小さな神社の賽銭箱に 響き落ち


揺れる赤と金色に 小さな手を合わせ 目を瞑った


あの時の 叶わぬ願いを思い出しましたか



それとも願わずとも手に入れたのは


絶えずポケットの中の掌で握っている


この街に垂れ流された 濁った電波の滴ですか