トーキョー
「何故ここに住んでいるの」
二度聞かれた
いつものように
異邦人扱いされている訳じゃなくて
故郷から来た人に
携帯電話で
「皇居が見える」
「六本木が見える」
「近づくほどにわくわくする」
彼は流行りの歌のようにそう実況中継した
「何故この街に住めるのなら住みたいと思わないの」
何故だろう
一度なくなった席を取り戻すのは
あらかじめないところに席を作るより大変だからだろう
トーキョーは喪失
ここは無いだけ
その違いかもしれない
そして年は新たに
トーキョーにほんの束の間
戻った時
わたしは未だ失っていないものを見つけられるだろうか